日時:令和7年11月5日(水)13:00~
場所:株式会社ネオレックス NX熱田神宮ビル
今回の例会は、福井県経営革新フォーラムが所属する「人を大切にする経営学会中部支部」との合同例会として、第7回日本でいちばん大切にしたい会社大賞の「審査委員会特別賞」を受賞された株式会社ネオレックスで開催されました。同社の代表取締役CEOである駒井研司氏、神楽坂乳業株式会社代表取締役の林和彦氏、そして、人を大切にする経営学会会長の坂本光司氏の3名による講演が行われました。また、ネオレックス様の社内見学も実施し、働きやすい職場環境を実際に拝見しました。
講師①:駒井 研司氏(株式会社ネオレックス CEO)
テーマ:人を大切にする経営は儲かるのか
駒井氏は、「人を大切にする経営は儲かるのか」というテーマで、事業内容、企業理念や経営方針、社員を大切にする取り組みについて講演されました。
同社はクラウド勤怠管理システム「キンタイミライ」やiPadを活用したタイムレコーダーアプリを展開し、顧客ニーズに合わせた柔軟なカスタマイズを実現。業界トップの地位を築いています。
社名のNEOREXは、「真のニーズに応える(NE-EDS)」、「独創的な技術(OR-IGINALITY)」、「世界に貢献(EX-PANSIVE)」という創業理念に由来し、これらの理念はサービス展開にも深く反映されています。
営業方針は、「ニーズに合わない無理な販売」ではなく、製品・サービスを磨き、適した顧客を見つけることを重視し、社員の技術力と自信に裏打ちされた姿勢が印象的でした。
社員を大切にする取り組みについて、採用、新人紹介、やりがい、研修、面談、朝礼、イベント、自由度の高い働き方、給与・手当など、具体的な内容をご説明いただきました。
採用に関しては、駒井氏が年間約1カ月の時間をかけて自ら面接を行い、学生と会社の相互理解を深めている点が印象的でした。また、「無理に追いかけない」「内定者フォローはしない」という採用スタンスも共感を呼びました。
新人紹介では、入社社員のプロフィールに生い立ちや学生時代の取り組み、趣味や人柄、仕事への意欲など、詳細な情報が盛り込まれており、印象的でした。
面談については、CEOと社長が年3回全社員と面談を行い、入社前の経歴から現在までを丁寧に把握している点に、深い配慮と熱意を感じました。
研修プログラムも多彩で、新人研修、NXDOOR、KTMユーザー紹介、シンポジウム、NXPJ(NEOREX Projects)、メールアカデミー、ワークショップなど、社員育成に力を入れていることが伝わってきました。
また、ABW(Activity Based Working)の導入により、フレックスタイム制度やオフィス環境の改善を通じて、社員が自律的に働き方をデザインできる環境を整備し、モチベーションと効率向上を図っていました。
給与・手当だけでなく福利厚生も充実しており、特に5周年ごとの琵琶湖クルーズビアンカ社員旅行では、社員やお子さんの成長の様子も紹介され、駒井氏の笑顔が印象的でした。
社員を大切にする取り組みが非常に充実している一方で、駒井氏は現状に満足せず、「道半ばである」との認識を持ち続けており、その姿勢が今後のさらなる発展と成長につながると感じました。また、「人を大切にする経営は儲かる」という理念を実践している同社に深い敬意を表します。
最後に、駒井氏から参加者へのアドバイスとして、「最初の一歩は面談から始めること」とのお言葉をいただきました。早速、面接を通じて社員の声を聞き、その声を経営に活かしていきたいと思います。
講師②:林 和彦 氏(神楽坂乳業株式会社 代表取締役)
テーマ:大学病院のがんセンター長がヨーグルト屋のオヤジになったワケ
林氏は、「大学病院のがんセンター長がヨーグルト屋のオヤジになったワケ」というテーマで、これまで医師として向き合ってきた「がん」という病気の存在について、医療の道を志すきっかけ、がんに関わる取り組み、そして現在のヨーグルト製造・販売会社を設立した経緯についてお話しされました。
医師を志したのは、少年時代に父親をがんで亡くした経験からであり、がん撲滅を目指して医師の道を歩みました。消化器系のがんの外科医として国内トップクラスの症例数を経験し、その後は抗がん剤治療や緩和ケアを専門の専門医となり、大学病院のがんセンター長も務めました。
がん専門医としての活動を通じて、患者や社会全体が正しい知識を持つ必要性を痛感し、講演や学校でのがん教育、保健教育の改革に取り組みました。さらに、がん患者の就労支援にも力を入れ、治癒率が高いにも関わらず就労困難な現状を改善しようとしました。
その過程で、労働環境の構造的問題に気づき、少子高齢化や労働力不足の中、闘病中や子育て・介護中の人々が働きやすい職場の必要性を感じ、起業を決意されました。都心の牛込で乳製品製造業の許可を独自に取得し、社会的弱者を支援する活動を展開されています。
大学病院時代に医療安全担当副院長として多くの医療課題に対応し、マスコミや世論の圧力によるストレスで重度の便秘を患いました。その際、自身の腸内環境改善を目的に開発したのがヨーグルトでした。長年の消化器系の知識と経験を活かし、自宅の一室をラボに改装して約2年間研究を重ね、味と力強さを兼ね備えたヨーグルト「神グルト」が誕生しました。
医療の世界から起業家へ転身される過程で、経営に関する知識が未熟な中、「人を大切にする経営学会」と出会い、その理念に深く共感されたとお話しくださいました。林氏の人生をかけた「がん」に関わる取り組みは、「人を大切にする経営学会」の理念を実践されているものであり、その姿に強い感銘を受けたのは、私だけではないと感じております。
講師③:坂本 光司 氏(人を大切にする経営学会 会長)
テーマ:「人を大切にする経営学用語事典の編纂の想い・内容」知るための事典ではなく行動するための事典
坂本氏は、監修された『人を大切にする経営学用語辞典』について、8,500社の経営者と社員の声を徹底的に研究した120人の執筆者が執筆した、経営学に関わる1,000の用語を収録したものであり、企業経営の目的を「関係する人々の幸せの追求・実現」とする想いから編纂されたとお話しされました。
これまで、多くの経営学の用語辞典が発刊されてきましたが、ほとんどは「株主価値の最大化」を企業経営の目的とした解説になっています。しかし、この辞典においては、従来の経営用語とは異なり、人を大切にする経営学会が長年研究してきた「人を大切にする経営実践企業」の経営成果から導き出した、独自の見解で解説されているとのことです。今回の講演では、多くの用語の中からいくつかの解説が行われ、その内容は、従来の経済学的な解説とは逆の側面も多く、「人の幸せのための辞典」となっていることが理解できました。
また、坂本先生がよくお話しされているように、人件費をコストと捉えるのではなく、経営の「目的」である「投資」として考えるこの辞典の考え方には、非常に共感を覚えました。これにより、人を大切にする企業を増やし、日本を変えていこうという、坂本先生の強い想いが伝わってきました。
この辞典は、福井県経営革新フォーラムの会員の皆様に近々届く予定になっています。当社においても、人を大切にする企業づくりの指南書として活用していきたいと思います。
今回の例会は、3名の講演により、参加者の皆様にとって大変有意義な時間となり、今後の経営の参考となる貴重な学びの場となりました。