日時:令和6年3月22日(金) 14:30~
場所:株式会社日本レーザー
講師:株式会社日本レーザー 代表取締役会長 近藤宣之 氏
テーマ『日本レーザーの歩みと現状』
今回の例会は、レーザー機器の専門商社である日本レーザー様にお伺いしました。近藤氏のご講演とともに、氏の計らいで在宅勤務をされている社員との意見交換、社内見学をさせていただきました。
この会社訪問を通じて、氏が社員お一人お一人の経歴や現在取り組んでいること、考えていることを的確に把握されていること、そして社員も、氏が自分のことを分かっていてくれているという信頼関係の上で、携わる仕事以上に自分の考えを積極的に話されていたことが印象的でした。
そのような中で、経営者でおられる近藤氏だけでなく、意見交換に参加された社員皆さんが共通認識として持たれていることに以下の3点をあげられました。
① 指示待ちではなく、当事者意識を持つこと。
親会社から独立された中で、自分が勤める会社は自分たちで守るという意志のもと、約85%の株式を出資者ではなく社員持株会が所有されており、会社の業況を社員全員に、株主総会だけでなく週ごとに提示する機会が創られていました。
これにより、社員全員のファイナンス能力を培う機会とされていて、一人一人が会社で何をすれば得になるか考えられる環境が創られ、その結果、率先して自分の仕事のみならず会社全体をより良くするためにお互いに考え、行動をされていました。
② 会社はつぶれる(=会社はいつもある)、メインの事業が無くなる(=事業は永続的に続く)という危機意識を持つこと。
親会社からの独立から30年近く黒字決算で続いてこられても、常に危機意識を持つことが重要であると考えられており、なおかつこの意識は決して消極的ではなく、ごくごく当たり前なこととして、そうあってはならないからこそ、成功は社員の手柄、失敗は役員の責任、失敗したときは社員とともにどう取り戻すかを一丸で考える社内風土を創られていました。
そのうえで、執行役員の方が、自分が抜擢されるという幸運は二度とないと感じ、役職を受け前に進もうと決心したことに、近藤氏も、その機会をしっかりバックアップして、彼女にチャレンジさせることが経営者の役目であると仰っていたことが、その体現であるのだと納得しました。
③ 仲間意識、利他の精神を貫くこと。
社員の皆さんがこの意識と精神と貫くために、論理的に行動されていることに感銘を受けました。今回同席した社員の方の実例として、自分が属する部署が人員過剰になっていないか、逆に不足している部署はないかということを上席に提言をしたり、ダブルアサインメントを採って、会社の損失を避け、販売先にも迷惑をかけない人員配置を提言したりして、今現在、責任を持って仕事に取り組まれているということがあげられました。
仲間とともに、そして仲間のために何をすべきかという意見が、役職や立場、雇用体系といった枠組みに捕らわれず、日頃から忌憚なく出ていることが、この短い会社訪問の時間の中でもひしひしと伝わってきました。
会社において人を大切にするということは、経営陣が社員の動きや考えを見据えて制度や仕組みを整備するだけでなく、会社に集う皆が自分事として捉え、自分もその変革の中の一員であると感じ、激動の時代の流れに対して、むしろ楽しんで取り組むことができる社風があるからこそ成せるのであると、この会社訪問を通じて実感しました。