日時:令和7年6月17日(火) 13:30~
場所:株式会社 天彦産業
講師:株式会社 天彦産業 取締役会長 樋口 友夫 氏
テーマ:『社員第一主義経営』~会社の発展は社員の幸せから~


創業150年という長い歴史を持つ天彦産業様は、近江商人の精神「三方良し」を大切にしながら、現在では「社員第一主義」を掲げ、社員とその家族の幸福を起点に、最終的には顧客の幸福につなげていくという理念を実践されている点が非常に印象的でした。
なかでも心に残ったのは、社員に求める「3つのH(自らの幸福・家族の幸福・会社の幸福)」という考え方です。「自らの幸福」とは、単に心地よさや優しさに包まれることではなく、自らに目標を課し、それを達成することで成長を実感する——そんな厳しさと責任を伴った、本質的な幸福を指しているという説明に強く共感しました。これは、自律した社会人としてのあり方を問い直す言葉でもあると感じました。
また、社員のモチベーションを高める上で、「自分が必要とされている」という実感が何よりも重要であるというお話も印象的でした。そのために、経営者自らが毎日数秒で社員全員に声をかけ、表情や様子を確認しているというお話からは、どれほど社員を大切にされているかが伝わってきました。
さらに、表彰制度や成果配分制度、海外研修に家族を招待する仕組み、納涼祭などを通じて、社員のみならずその家族との関係も深めていく「大家族主義」の経営姿勢は、制度という枠を超えた温かさと人間味を感じさせるものでした。
同時に、制度が増えることでかえって社員を縛ってしまうリスクにも目を向け、「お互い様の精神」で助け合う風土づくりを大切にしてこられたという点にも、バランスの取れた経営哲学を感じました。こうした姿勢が天彦産業様の企業文化として根づき、好循環を生んでいるということが大きな学びになりました。
最後に、樋口会長のユーモアあふれる語り口と、社員だけでなくその家族までも包み込むような温かいお人柄に、心から感銘を受けました。「人を生かす経営」とは、理念だけでなく日々の実践と心のあり方が伴ってこそ成り立つのだと、あらためて実感いたしました。
この講義から得た学びを、今後の自分の仕事や社員との関わりの中でしっかりと活かしていきたいと思います。
