日時:令和7年5月21日(水) 14:15~
場所:福井市地域交流プラザ
講師:人を大切にする経営学会 会長 坂本 光司氏
テーマ『環境変化と企業経営』

総会後の例会では、「人を大切にする経営学会」会長の坂本 光司 先生によるご講演が開催されました。今回のテーマは「環境変化と企業経営」ですが、経営のやり方を学ぶ必要もありますが、企業のあり方が一番大切であるということを学ばせていただきました。今回は資料の方も展開されておりますので講話で感じたことの復習や、自社が向かうべき方向性を正すためにも資料を見返して企業のあり方を考えたいと思います。
<1.この企業に学べ>
ここでは、人を大切にする経営のお手本となる企業を11社ご紹介いただきました。そのなかで一部を紹介します。株式会社アジャイルウェア(大阪市)では、日本で一番休みの多い会社として、年間153日休暇(隔週完全週休3日・有給休暇含まず)を実現し、残業もほぼなし。脳科学の知見に基づき、25分働くと5分休憩を入れるなど、社長が起業前の社員時代に嫌だったことをしないと決めて実践されているようです。また、新オフィスへの移転の際に、“自宅より居心地の良いオフィス”を実現した新オフィスとして改装されています。いずれもオンリーワンとなるような事業内容を展開されているため、値決めがしやすい点が根底にあるようで、そこで得られた利益を従業員のために活用、還元するといった、非常に良いサイクルで経営することの大切さを学びました。次に、神楽坂乳業株式会社(新宿区)では、重度の便秘に悩んだ(当時医師だった)社長が、自らの健康のために開発したヨーグルトが「神グルト」の始まりのようです。がん治療や教育に尽力する中で、病や育児・介護で働けない人々の現実を知り、彼らを支える職場づくりを目指して起業されました。現在も医師としての活動を続けながら社会活動を続けられており、医療専門家の目線で商品開発を行いながら、皆様の健康を食で支えている点は、非常に引き込まれるストーリーですし、社会的意義のある御会社であると感じました。
<2.職種別労働需給と対策>
職種別の有効求人数、有効求職者数、有効求人倍率をご説明いただきました。
<3.人を大切にする経営学用語辞典の発刊>
経営学用語辞典を作った目的は、坂本先生がいろいろな人々の地獄の叫びを見て見ぬふりが出来なったためで、その想いがぎっしりと詰まっているものと思います。30〜40人のリストラを命じられた人事課長が、全員と面談した末、一生懸命働く従業員を決めることが出来ず、自らの名前だけを名簿に記載し辞職した方。顧客にとってベストでない高利益商品を売り続け、トップ営業になったが、会社都合の嘘の営業に疲れた方。赤字寸前の協力会社にも一律でコストダウンを要求。高収益な自社との矛盾に苦しんだ方など。また、利益を追求することが本当に正しいことかという話もありましたが、人件費は抑えるべきコストではなく、経営の目的として上げることを目標とすべきとのことで、こういった考えを変えない限りは、幸せに働くことができず、本来、会社とは人を幸せにする場所、人を幸せにする活動をするものであるということ、また、企業経営の目的は、一般的には、株主価値の最大化と言われていますが、関係する人を幸せにすることであるということを学ばせていただきました。経営学用語辞典を少しずつでも読み進めて理解していきたいと思います。
<4.なぜこの会社の社員は辞めないのか>
いくつかの企業のご紹介と辞めない要因の6項目を教えていただきました。
1)正しい経営
2)社員とその家族を大切にする経営の実践
3)やりがい・働きがいを感じる仕事
4)良好な職場の人間関係づくり
5)魅力的で信頼できる経営者幹部社員の存在
6)理念採用と全員参加型採用
<5.時代を読み解く5つの眼・この変化を読み解く>
「トランプ政権は世界経済に何をもたらすか」では、様々な実績数字をもとにアメリカの現状や、それにより日本への影響などを学ぶことができましたが、自利や損得勘定で行動することの危険性についてもお考えを述べられておりました。その中で、坂本先生がおっしゃっていた言葉が心に残りましたので、こちらに記載しておきます。
いい会社になりたければいい会社とお付き合いをする
いい人間になりたければいい人間とお付き合いをする
いい国になりたければいい国とお付き合いをする
坂本先生、大変熱い想いが詰まったご講演まことにありがとうございました。
例会終了後はザ・グランユアーズフクイの「たち花」にて懇親会を行い、会員同士の交流を深めました。

